先日とあるゲームクリエイターと会話する機会があり、(旬は少し過ぎている気もするが)話題になった「ゲーミフィケーション(gamification)」というコトバ。
色々調べてみると、日本でこのキーワードがある種流行したのは2010年半ばから後半くらいでしょうか(米国だとゲームベースマーケティングなるコトバが2000年前後、このコトバ自体は2005年くらい)。関連するエントリーもこの時期に集中しており、その後少し落ち着きつつ(はてブで検索してみると、100件以上ブクマされたエントリが見つからない)、今改めて注目されているといった段階でしょうか。Google+にGameが導入されるという話もありますし、改めてホットになりそうな話題です。
弊社もソーシャルゲームを扱う関連子会社(SAP)を複数展開しており、また広告案件としてもこうした要素を持った案件が増えてきたということもあり、あくまでマーケターとして少しまとめてみたいと思います。ゲームクリエイターの方から見れば当たり前、と思われる点、違うんじゃない?と思われる点もあるかも知れませんがご容赦ください(ないしご指摘ください)。
1. ゲーミフィケーションの定義
「ゲーミフィケーション(gamification)」というコトバ、コンセプト。実はまだ日本語版Wikipediaにはその記述がありませんが、簡単に言ってしまえば「ゲーム以外のサービス(特にウェブサイトやコミュニティ)にゲーム(を面白く、楽しくするため)に用いられるテクニック、考え方を導入することで、ユーザーがもっと活性化するようにすること」と考えて良さそうです。マーケターや広告マンの方は、キャンペーンプランニングに導入するというシーンを思い浮かべると分かりやすいかも知れません。
2005年に創業されたゲーミフィケーション向けのプラットフォームを提供するBunchball社のモーリー・キトル氏は「サイト運営のもう一つの形」とも位置づけています(ゲーミフィケーション、明日から使える60のハウツー)。
またそうしたビジネスサイドでの活用だけでなく、例えばインディアナ大学のテレコミュニケーション学科では,講義それ自体をゲーム化(ゲーミフィケーション)し、学生の活性化、授業への参加意欲の向上に成功している、などの例も存在します。
この視点で言うと、(手前味噌で恐縮ですが)ある意味弊社の人事システムにはゲーム化(ゲーミフィケーション)されたものが多い。例えば弊社のプロデューサー用会議制度「ポイントすすむくん」などは後述する「スコアの蓄積」と「競争」、「モチベーション」という要素が加味されている(実際この制度はうまくいっている)。
2. 注目される背景
①まず一つ挙げられるのは、ソーシャルメディアの普及とソーシャルゲームの台頭、でしょう。何となく「ドラクエやFFのようなビックタイトル以外は・・・」という雰囲気を、Zyngaを代表とするプレイヤーがよくも悪くもひっくり返してくれました。
さらに米調査会社Forrester Researchの調査によれば、ソーシャルゲームをプレイする人の59%は女性。またNielsenによると、ゲームは、アメリカ人にとってfacebookに代表されるソーシャルネットワーク利用に続き2番目に頻度の高いインターネットアクティビティでもあるようです。メールを既に超えてしまっている。つまり属性的にもボリューム的にもゲーマーの定義が変わってきているという点が重要でしょう。
もちろん質的な変化(ライトゲーム化、無料ゲーム化など)も抑えておくべきポイントだと思います。そういう意味で、今までゲームを積極的にやらなかったヒトが「ゲーム的な何か」に興味を持ち、ハマっているというのが現状だと思います(ここでは旧来的なゲームがヤバイ!的な話は置いておきます)。
②さらにゲーム以外に、ゲーム的な要素をもったサービスが台頭し始めます。特に勢いがあったのはfoursquareを代表とする位置情報系サービス。ご存知の通り、チェックインする回数によってバッヂが付与されたり、ポイントがたまったり、仮想アイテムが入手できたり、クーポンをゲットできたり・・・ユーザーはその「ゲーム的な何か」の中に楽しさを見出し、チェックインという行為を自然なモノ(あるいは中毒性を持って)として受け入れ、爆発的な成長を遂げています。
少し脱線しますが、「mixi疲れ」「Twitter疲れ」というコトバに代表されるように、人間関係をベースにしたサービスにヒトは「疲れ」や「飽き」を感じ易い。そういう意味ではソーシャルネットワークそれ自体の楽しさ以外でそれが成立する要素を持つべきなのかも知れない、という議論に立つとこうしたコンセプトが注目されるひとつの背景として考えられるかも知れません。
③さらにいわゆる会員組織のアクティブ率の低下なども背景として考えられるかも知れません。確かに2,3年前くらいから僕自身、多くの会員組織を抱える広告主様から「活性化」の依頼を多く受けるようになりました(今までは「新規会員獲得」が主)。
3. 習得と活用
ここからは 前述したゲームクリエイターとの会話をベースにまとめます。まずゲーミフィケーションの技法類型としてよく言われるものをピックアップします。
- スコア蓄積:ゲームをクリアしていくごとに加算されるスコアの導入する
- レベルアップ:現在のステータスを可視化しつつ、ユーザーを特定行動(=レベルアップ)に方向付ける。
- 競争:ユーザー同士を競い合わせるルールの設計を行う。
- 難題の提示:ユーザーが「躍起になって」取り組める難題の提示。
- モチベーション:報酬(バッヂやポイント、仮想通貨など)の付与によるモチベーション維持の仕組みを導入する。
- ステージの設計:いわゆる「面」の設定。スモールゴール形式で第一ステージ、第二ステージとクリアしていく行為の設計を行う。
上記のような項目がその技法の類型として挙げられます。ただこれらはあくまで技法の羅列であって、単にソレを導入すればユーザーが喜ぶか、活性化するかというとそれだけでは十分でない。
このゲームクリエイター曰く「なぜこれらのゲームの要素が効くのか、その背景をきちんと理解すべし」ということでアドバイスが2点ほど有りました。
A. ゲーム(ないし「ゲーム的な何か」)をやること。
このクリエイターは「ゲーミフィケーション」について偉そうに語るがジブンはゲームをやっていない自称マーケターが多くて困る、と嘆いていました。まずは「やれ」と。そしてジブンが楽しいと感じる部分、ハマっているなと思う状況を認識し、きちんと「なぜ?」を考え、言語化せよ、と。
これはいきなり真剣にやってしまうと大変なので、まずは楽しむこと、ハマるところからやることをオススメします。その後で「なぜ?」を考え「言語化」する。やってみるとわかりますが、これは大変勉強になります。
さらに特典として、営業時間中にゲームをやっていても「ゲーミフィケーションについて調査しているところです」と言えば、堂々とゲームをすることが出来ます。ちょうどソーシャルメディア担当のヒトが常にTwitterやfacebookをやっているアレです(オレか)。と、冗談は置いておいて非常に有効無手段だと思います。
試しに週2つくらい、ゲーム系アプリをダウンロードしてやってみてください。色々な気づきが得られます。
B. ゲーム関連書籍を大量に読むこと。
僕らマーケターはゲームをプロデュースすることが仕事ではないので、「ゲームを作ること」に中々参加することは出来ません。そういう時、ショートカットの役割を果たしてくれるのはやはり本です。幾つかオススメの書籍を紹介してもらったのでシェアします。
2.ゲームデザイン脳 ―桝田省治の発想とワザ― (ThinkMap)
3.それは「ポン」から始まった-アーケードTVゲームの成り立ち
4.「ヒットする」のゲームデザイン ―ユーザーモデルによるマーケット主導型デザイン
5.ゲームシナリオの書き方 基礎から学ぶキャラクター・構成・テキストの秘訣 (NEXT CREATOR)
僕個人的には1.はかなりボリュームがありますが体系的に学べるので参考になりました。あとは3と6ですね。ジブンの子供の頃を思い出しながら、色々と目からウロコな記述が多かったです。
以上、いかがでしたでしょうか。かなり簡単ではありますが「定義」「背景」「活用と習得」という三部立でシンプルにまとめてみました。ご意見など頂ければ幸いです。
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